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ファンレス M1 MacBook Air にサーマルパッドを貼った結果

ネットでMacBook Airにサーマルパッドを貼ると,重たいタスクもMacBook Pro並に高性能になるという噂を聞き,DTMで検証しました. 検証の結果、効果が限定的なので敢えてやる価値はないという結論に至りました.

サーマルパッドを貼る

ネジを外したのに裏蓋が開かなくて焦りました。iFixit の持ち方以外ではどんなに力入れても絶対開かなかった.ありがとうiFixit.

パッドの貼り方は言葉で伝えるのが面倒なので,このツイートの画像を見てください:

マックのCPUにサーマルパッド貼り、裏板の断熱材剥がしました pic.twitter.com/ghNStHjlfx

— kr1nu (@kr1nu) August 28, 2022

ベンチマーク設定

室温25.0度,Mac内蔵ヘッドフォン出力 96kHz 1024 sample bufferを再生デバイスとして, 以下のリンクにあるLogicAlchemyTest.logicxを使いベンチマークしました.

https://music-prod.com/logic-pro-benchmarks/

なぜAlchemyのプロジェクトを96kHzで使ったかというと,単純に普段私がそのようにDTMをやっているからです.このベンチマークではLogic付属(買収前はCamel Audio)のAlchemyという4オシレータの激重プリセットを5和音鳴らしたMIDIトラックを最大何トラック同時に再生できるか測ります.Logicユーザでない人にわかりやすく例えると,Alchemyの重さはだいたいOmnisphereくらいです.

計測は10回以下やりなおして再生できる限界のトラック数を調べて,そのまま温度が上がらなくなるまで放置・ループ再生し続けたときの最大温度とCPU使用率を記録しました.

サーマルパッド前

CPU温度(℃)CPU使用率(%)トラック数
プロジェクト起動時33.713
高性能4コアのみ62.58828
全8コア64.99551

40トラックから再生どころか操作の反応が遅く怪しくなってきました.高性能コアだけでは記録は伸びず,かなり挙動が不安定になるのが意外でした.高効率4コア+高性能4コアの全8コアでの使用をおすすめします.

サーマルパッド後

数値上の改善は2トラック増えた・2度くらい下がった程度で地味でした.

CPU温度(℃)CPU使用率(%)トラック数
プロジェクト起動時28.714
高性能4コアのみ54.98831
全8コア62.59553

こちらも実際には47トラックあたりから再生が怪しくなってきました.操作の反応は限界付近でも比較的機敏でした.なお,どれだけ再生を続けても64度台には突入せず、冷却効果の改善はたしかに認められました.さらに再生をとめると数秒で40度台まで冷える明らかな違いがありました.

さらにCPUが60度を超えてる状態で,実際に放熱してる箇所を触ってみました.従来熱くなるはずの画面の近くではとくに熱を感じず,従来熱くならない筐体裏側はほんのり温かかったです.具体的にはエアコンないところでは不快なレベルであり,膝の上に載せるのをためらわないギリギリの熱さです.昔使っていた2009年のIntel C2D MacBook Proはこれくらい発熱してたので懐かしくなりました.

まとめ

冷却効果はあるものの非常に限定的だったので,やる意味はないかもしれません.工場出荷時にファンレスかつサーマルパッドなしでここまで発熱少ないM1自体が驚異的でしたね.

ベンチマークはこれまでの経験に合致する結果でした.MacBookは最大96kHzで40トラック以上の重いシンセが同時に鳴るほどの性能があるため,大抵の曲は快適に作れるので気に入ってます.


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